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7-6. 商品券

本節では商品券の処理を説明します。ここで、商品券とはいわゆるデパートが発行している商品券が対象です。三越ギフトカードとか、高島屋カードとかです。簿記3級で想定している個人商店で商品券を発行しているところなんてないと思いますが、なぜか簿記3級の範囲です。もっとも、簿記の仕組みを理解する上では非常に良い論点だと思います。なお、ポイントカードやスタンプカードのようなものは商品券ではありません。

余談ですが、ポイントカードは、スーパーとか家電量販店等の小売店に行けばない店はないというほど一般的ですが、会計処理はきっちりと定まっていなくて、簿記1級でも出ません。実務でも、各会社が結構やり放題で会計処理していて、よく問題になったりします。ポイントは、客がポイントを使えば、その金額の商品を渡さなければいけないので立派な負債なのですが、ポイントの利用実績とかを持ち出して、色々と負債を減らそうとしている怪しい会計処理に実務でよく出会います。まあ、いずれにせよここでは扱いません。

商品券とは

さて、商品券ですが、正確には2つに分かれます。それは、自店商品券と他店商品券です。自店商品券は、商品券と呼ぶことが一般的で、簿記の世界で商品券と言えば自店商品券です。つまり、商品券とは自分が発行した商品券で、他店商品券とは、他の会社が発行した商品券です。

さて、いきなり本質に入りましょう。結論から言うと商品券(自店商品券)は負債です。えっ?と思った方もいるかもしれませんが、よく考えてみてください。みなさんが、親族の入学祝とか友人の出産祝い等、ある程度お堅いプレゼントとしてデパートの商品券をあげようと思い、デパートに行き、商品券を買いました。簿記なので、問われているのは、デパート側の処理です。デパートからすると商品も渡していないのにお金をもらっています。商品を渡していないので、売上ではもちろんありません。物が動かない限り仕入や売上を計上することはありません。では何かというと、将来その商品券を持ってきた人には、その商品券と引き換えに何らかの商品を渡さなくてはいけません。つまり、商品券の本質は、前受金であり、将来その金額相当の商品を渡す義務なのです。だから、商品券は負債です。仕訳を見てみましょう。

例1 商品券を発行し、現金1,000円を受け取った。

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借方現金1,000円は当然です。そして、商品券の発行は将来それと引き換えに1,000円分の商品を渡すという約束(義務)ですから、貸方は商品券(負債の増加)です。

例2 商品3,000円を売り上げ、代金のうち2,000円は現金で、残りの1,000円は自社発行の商品券で受け取った。

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ここで、3,000円分の商品を相手に渡していますから、貸方の売上3,000円は絶対です。何度も説明していますが、売上と仕入は商品が移動した時にその代金で計上します。相手に3,000円分の商品を渡しているのですから売上3,000円です。そして、現金2,000円を受け取っていますから、借方の現金2,000円も絶対です。では、差額は何かというと、それが商品券です。商品券が流通している間は、自分たちには対応する金額の商品を渡さなくてはいけないという義務がありますが、それを回収して商品を渡した以上、義務は果たしました。したがって、借方は商品券1,000円(負債の減少)です。

では、続いて他店商品券を見てみましょう。

他店商品券とは

他店商品券は、他の会社が発行している商品券です。三越と伊勢丹のように同じグループであったり、百貨店連盟みたいなものに加盟していれば、違う会社の商品券であったとしても使えたりします。ここでは、他社発行の商品券をもらった場合の処理を説明します。

本質は一つです。他店商品券は資産です。なぜならそれを他社(発行会社)に持っていくとお金に換えてくれるからです。自店商品券と違い、自分はお金を一切もっらっていなくて商品を渡しています。他方で、その商品券を発行した他社が発行時にお金をもらっているのですから、発行会社からそのお金をもらう権利があるのです。したがって、他店商品券は、発行会社からお金をもらう権利、つまり資産です。

さて、実際に仕訳を見てみましょう。自店商品券と違い、発行という手続きはありません。それは、他社で行われることであり、自社には関係ありません。お客さんが他社で買った、もしくは、買った人からギフトとしてもらった商品券を持って、自社で買い物するところから話は始まります。

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例3 商品5,000円を売り上げ、代金の内3,000円を現金でもらい、残りは他店発行の商品券で受け取った。

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5,000円分の商品を相手に渡しているので、貸方の売上5,000円は絶対です。また、現金3,000円もらっているので、借方の現金3,000円も絶対です。そこで借方の差額の2,000円ですが、これが他店商品券という資産になります。他店商品券は後で発行会社に見せるとお金をもらえるので資産です。

例4 商品5000円を売り上げ、代金の内2000円は自店発行の商品券を受け取り、残りの3000円は他店発行の商品券を受け取った。

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代金の受け取りパターンがどうであろうと、5,000円分の商品を客に渡しているので、貸方の売上5,000円は絶対です。さて、借方ですが、客に商品を渡すのと引き換えに商品券を5,000円分もらっています。その内、他店発行のものが3,000円分あり、これは発行会社に見せるとお金と交換してもらえますから資産です。つまり、借方に他店商品券3,000円です。残りの自店発行の2,000円の商品券ですが、これは自分が発行した時点で代金をもらっており、自店商品券とは前受金、つまり、持ってきた相手に対して、額面相当の商品を渡さなければいけない義務であり、それを回収したわけですから、負債の減少です。借方に商品券2,000円(負債の減少)です。

なお、この場合に、商品を渡すのと引き替えに商品券という紙切れをもらっています。そしてその紙切れは自店商品券と他店商品券です。自店商品券は負債ですが、商品券という紙切れをもらったから、借方商品券と覚えてもらっても別に良いです。確かに自店商品券は負債ですが、いちいち仕訳を考える時にそんなこと考えなくても良いです。つまり、商品と引き替えに商品券という紙切れをもらったから仕訳の借方は商品券勘定。区分するために自店が発行したものは商品券で、他社が発行したものは他店商品券で処理する。そう覚えてもらっても別に止めません。それで試験は困りません。

さて、商品券については忘れてはいけないイベントがあります。それは、他のお店との商品券の精算です。つまり、他店商品券を、発行した会社に見せて現金をもらいます。また、その一方で、他社から自店発行の商品券を提示されることもありますから、その場合にはこちらがお金を払わなくてはいけません。

例5 商品券の精算を行い、当社保有の他店商品券5,000円と他社保有の自店商品券7,000円を清算し、差額は現金で支払った。

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この場合も、二つの商品券を分けて考えましょう。まず、他店商品券5000円の精算ですが、これは発行会社に見せて5000円をもらいます。自分が発行したわけでもない商品券と引き換えに自分は客に商品を渡しているのですから、当然5,000円もらえます。相手が自分に見せてきた、自店商品券はその逆です。相手は、自分が発行した商品券と引き換えに商品を渡しており、そもそも、その商品券を発行した時にお金をもらったのは自分ですから、その代金を相手に渡してあげる必要があります。

なお、以下の仕訳を見てください。

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問題文では、差額を現金で支払ったとあります。つまり、現実には5,000円もらって、7,000円払うなんてことはせずに差額の2000円を支払うわけですから、この仕訳でも構いません。むしろ受験上はこちらが正解かな。

以上商品券の処理でした。

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